ローレット加工の図面指示、これで完璧!ミスのない書き方を徹底解説
「図面にローレット加工を指示したいけど、どう書けばいいんだろう…?」
「JIS規格に沿った正しいローレット指示が知りたい!」
もしあなたが今、ローレット加工の図面指示で悩んでいるなら、この記事はあなたのためのものです。
ローレット加工は、工具の滑り止めや装飾のために不可欠な加工ですが、図面上の指示方法を間違えると、意図した仕上がりにならなかったり、加工業者との間にトラブルが発生したりすることがあります。
この記事では、ローレット加工を図面に正確に指示するためのポイントを、JIS規格に基づきながら、わかりやすく解説します。
これを読めば、あなたの書いた図面が、誰が見ても一発で伝わる完璧なローレット指示になりますよ。
ローレット加工の図面指示に必要な3つの情報
ローレット加工を図面指示する際には、以下の3つの情報を明確に伝える必要があります。
ローレットの種類(転造か切削か)
加工する部分の寸法(直径、長さ)
ローレットの形状とピッチ
これらの情報を、図面の引出線(引き出し線)と記号を使って簡潔に指示するのが一般的です。
【JIS規格準拠】ローレットの正しい図面指示方法
ローレット加工の図面指示は、JIS(日本産業規格)B 0951「転造及び切削によるローレット」に沿って行うのが基本です。
ここでは、その具体的な表記方法を見ていきましょう。
1. 記号でローレットの形状を指示する
ローレットの形状は、大きく分けて平目(ひらめ)、綾目(あやめ)、**網目(あみめ)**の3種類があります。
これらを、図面では以下の記号で指示します。
形状 | 記号 | 説明 |
平目 | KN F | 直線状のギザギザ。まっすぐな滑り止めが必要な場合に。 |
綾目 | KN A | 45°の角度で交差するギザギザ。斜めの滑り止めが必要な場合に。 |
網目 | KN G | 平目と綾目が組み合わさった、ひし形の網目。最も一般的な滑り止め。 |
※KNは「Knurling(ローレット)」の略です。
2. ピッチ(間隔)を数値で指示する
ローレットのギザギザのピッチ(山と山の間隔)は、モジュール(m)という単位で指定します。
例えば、「m0.5」と指示すれば、ピッチが0.5mmのローレット加工を意味します。
このモジュール値によって、ローレットの粗さが決まります。
3. 全体像を伝える「ローレット加工の図面指示例」
これまでの情報をまとめると、図面上の指示は以下のようになります。
KN F - m0.5
これは、「平目のローレット加工を、モジュール0.5で行ってください」という指示になります。
より具体的に、加工する部分の直径や長さも併せて指示しましょう。
【図面指示の具体例】
部品の外径部分に、平目のローレット加工を施したい場合
図面表記例:「φ20 KN F - m0.5」
部品の外径部分に、綾目のローレット加工を施したい場合
図面表記例:「φ20 KN A - m0.5」
この表記を、加工を施したい部分の寸法線に引出線を使って記入します。
ローレット加工の図面指示でよくある間違い
ローレット加工の図面指示で、特に初心者が間違えやすいポイントをいくつかご紹介します。
加工方法の指定漏れ
切削ローレットか、転造ローレットか。転造ローレットの場合、加工前の直径と加工後の直径が変わるため、この指示は非常に重要です。
KNと指示するだけで、特に指定がなければ「転造」で加工されることが一般的です。
ローレットの種類とピッチの指示間違い
「綾目のローレットで、ピッチ0.5」と口頭で伝えても、図面上に「KN A - m0.5」と正しく書かれていなければ、意図が伝わりません。
JIS規格と異なる独自の記号を使う
会社独自のルールや記号を使ってしまうと、外部の加工業者に依頼する際に混乱を招きます。可能な限りJIS規格に沿った指示を心がけましょう。
まとめ:ローレット加工の図面指示は「正確さ」が命
今回は、ローレット加工を図面に指示する際のポイントを解説しました。
ローレット加工の図面指示は、ただ「ギザギザにしてほしい」と伝えるだけでは不十分です。
ローレットの種類(平目・綾目・網目)
ピッチ(モジュール値)
この2つの情報を、JIS規格に沿った記号で正確に伝えることが、ミスのないモノづくりへの第一歩です。
この記事を参考に、あなたの設計図がよりクリアで、よりスムーズに伝わるものになれば幸いです。