チーム医療って何？看護師に求められる役割と、患者さんの笑顔に繋がる大切なこと
「チーム医療」という言葉を、病院で耳にすることが増えましたよね。「なんとなく多職種連携のことかな？」とは思うけれど、具体的にどんな役割があるのか、看護師としてどう関わればいいのか、疑問に感じている方もいるかもしれません。
実は、チーム医療は、患者さん一人ひとりに最適な医療を提供し、より良い回復やQOL（生活の質）の向上を目指す上で、欠かせない考え方です。そしてその中で、看護師はまさに「要」となる重要な役割を担っています。
この記事では、チーム医療の基本的な考え方から、看護師に求められる具体的な役割、そして円滑なチーム連携のために大切なことまで、分かりやすく解説します。患者さんの笑顔のために、チームの一員として最大限の力を発揮するためのヒントを見つけましょう。
1. チーム医療とは？なぜ今、注目されているの？
チーム医療とは、患者さんを中心に、医師、看護師、薬剤師、管理栄養士、理学療法士、作業療法士、社会福祉士など、様々な専門職がそれぞれの専門性を活かし、連携・協力しながら治療やケアにあたる医療体制のことです。
なぜ今、チーム医療が注目されるの？
医療の高度化・複雑化: 現代医療は非常に専門分化し、一人の医師や看護師だけでは対応しきれないほど複雑になっています。多様な専門職が協力することで、多角的な視点から患者さんをサポートできます。
高齢化社会: 複数の病気を抱える高齢の患者さんが増え、治療だけでなく、生活支援や介護、社会復帰に向けた支援など、幅広いニーズへの対応が求められています。
患者中心の医療: 患者さん自身の意思や価値観を尊重し、意思決定に主体的に関わってもらう「患者中心の医療」が重視されています。多職種が連携することで、患者さんやご家族が抱える不安や疑問を総合的にサポートできます。
医療安全の向上: 複数の目で情報を共有し、確認し合うことで、医療ミスや事故のリスクを減らし、より安全な医療を提供することに繋がります。
2. チーム医療における看護師の「要」となる役割
チーム医療において、看護師は患者さんに最も身近な存在であり、その役割は非常に多岐にわたります。まさに、チーム全体の情報共有や調整役を担う「要」と言えるでしょう。
役割1：情報収集と情報共有のハブ
患者さんの最も近くで情報を得る: 病状の変化、訴え、気持ち、生活状況、ご家族の様子など、患者さんの側に寄り添う看護師だからこそ得られる「生きた情報」を収集します。
多職種への情報共有: 収集した情報を、医師、薬剤師、療法士など、他の医療スタッフへ正確かつタイムリーに伝達します。逆に、他職種から得た情報を患者さんやご家族に分かりやすく伝える橋渡し役も担います。
情報整理とアセスメント: 集めた情報を整理し、患者さんの現在の状態や課題を多角的にアセスメント（評価・分析）します。
役割2：患者さんとご家族の「代弁者」
患者さんの声に耳を傾ける: 患者さんの思い、不安、希望、治療への疑問などを丁寧に聞き取り、言語化し、必要に応じてチーム全体に伝えます。
治療方針の理解をサポート: 医師の説明だけでは理解しにくい医療用語や治療内容を、患者さんやご家族が理解しやすい言葉に変換して説明し、意思決定をサポートします。
QOLの視点を重視: 治療だけでなく、患者さん自身の「より良い生活」という視点から、その人らしいQOLの向上を目指し、チーム内で提言します。
役割3：治療・ケアプランの実行と調整
具体的なケアの実施: 医師の指示に基づき、点滴や処置、服薬管理といった医療行為を安全に実施します。
生活援助: 食事、排泄、清潔ケアなど、日常生活における援助を行い、患者さんの状態変化に合わせた個別ケアを提供します。
多職種間の調整役: 各専門職からの介入計画や目標を統合し、患者さんの状況に合わせて調整・実行します。例えば、「理学療法士のリハビリの後に、管理栄養士が食事指導を行う」といった連携の調整を行います。
役割4：教育と指導
患者さんへの指導: 退院後の生活やセルフケアについて、具体的な方法や注意点を分かりやすく指導します。
ご家族への支援: 介護方法や精神的なサポートなど、ご家族への指導や助言も行います。
3. チーム医療で看護師が「大切にすること」
チーム医療の力を最大限に引き出すために、看護師として特に意識したい大切なポイントがあります。
1. コミュニケーション能力の向上
「聞く力」: 相手の意見を尊重し、最後まで耳を傾ける姿勢が重要です。多職種の専門家がそれぞれの視点から話すことを理解しようと努めましょう。
「伝える力」: 自分の意見や患者さんの情報を、簡潔に、分かりやすく、根拠に基づいて伝える工夫が必要です。報告のタイミングや方法も意識しましょう。
「報・連・相」の徹底: 患者さんの状態変化や、他職種との連携事項など、必要な情報は必ず共有する習慣をつけましょう。
2. 専門性の理解と尊重
他職種の専門性を知る: 薬剤師は薬の専門家、理学療法士は体の動きの専門家など、それぞれの職種がどんな専門性を持ち、どんな役割を担っているのかを理解しましょう。
相手の意見を尊重する: 自分の専門分野外の意見に対しても、まずは「そういう考え方もあるんだな」と受け止める姿勢が大切です。
3. 「患者さん中心」の視点を常に持つ
共通の目標は患者さんのため: チーム医療の最終的な目標は、患者さんの最善の利益です。常に患者さんやご家族の意向を最優先に考え、チーム全体で共通認識を持つことが重要です。
患者さんの「声」を届ける: 患者さんのそばにいる時間が長い看護師だからこそ、患者さんの細やかな変化や本音をチームに伝えることで、より質の高い医療に繋がります。
4. 積極的な学びの姿勢
新しい知識の習得: 医療は日々進歩しています。自身の専門分野だけでなく、他職種の知識や最新の治療法についても積極的に学び、視野を広げましょう。
振り返りと改善: チームで連携したケアを振り返り、何がうまくいったのか、どこを改善できるのかを話し合うことで、より良いチーム医療へと繋がります。
まとめ：チーム医療で、もっと深く、もっと広く患者さんを支える
チーム医療は、一人の力では成し得ない、より質の高い医療を患者さんに提供するための強力な体制です。その中で看護師は、患者さんとチームの架け橋となり、全体の流れをスムーズにする「要」として欠かせない存在です。
日々の業務の中で、積極的にコミュニケーションを取り、他職種の専門性を尊重し、「患者さんのために何ができるか」を常に考え続けること。それが、チーム医療において看護師が最も輝き、患者さんの笑顔に繋がる大切なことなのです。
あなたの持つ看護の力を、チームの中で最大限に発揮してくださいね。