【突然グラッ】頭を動かすとめまいが…「良性発作性頭位めまい症」の原因と自宅でできる対処法
「朝起きて体を起こした時に、グルグル目が回った…」「寝返りを打ったら、急に天井が回り出した…」「頭を洗おうと下を向いたら、フラッとめまいがした…」
こんな経験はありませんか?一瞬の出来事とはいえ、突然のめまいは本当に不安になりますよね。もしかしたら、そのめまいは「良性発作性頭位めまい症(BPPV)」かもしれません。このめまいは、特定の頭の位置で起こるのが特徴で、実はめまいの原因として最も多いものの一つなのです。
この記事では、良性発作性頭位めまい症がなぜ起こるのか、どんな症状が出るのか、そして病院での治療法はもちろん、自宅でできる簡単な対処法まで、詳しく解説します。もう突然のめまいに怯える必要はありません。正しい知識を身につけて、安心して毎日を過ごしましょう!
頭を動かすとめまいが!良性発作性頭位めまい症ってどんな病気?
良性発作性頭位めまい症は、特定の頭の動きや位置で、数秒から数十秒程度の回転性のめまいが繰り返し起こる病気です。名前が長く難しそうですが、ご安心ください。その名の通り「良性」であり、命に関わる病気ではありません。
原因は耳の奥にある「耳石(じせき)」の移動
私たちの耳の奥には、平衡感覚を司る「三半規管(さんはんきかん)」と「耳石器(じせきき)」という器官があります。耳石器の中には、名前の通り「耳石」という小さな石のようなものがあり、これが重力を感知して体の傾きを脳に伝えています。
通常、耳石は耳石器の中にありますが、何らかの原因でこの耳石が剥がれてしまい、三半規管の中に入り込んでしまうことがあります。これが、めまいの主な原因となります。
なぜ頭を動かすとめまいが起こるの?
剥がれた耳石が三半規管の中に入ると、頭を動かした時に、その耳石が三半規管の中のリンパ液をかき混ぜてしまいます。このリンパ液の動きが、脳に誤った平衡感覚の情報を伝えてしまうため、実際には動いていないのに体が回転しているような「めまい」を感じるのです。
耳石が剥がれる主な原因
加齢: 加齢とともに耳石が剥がれやすくなると言われています。
頭部の外傷: 頭を強く打ったり、交通事故などで衝撃を受けたりした場合。
長時間の同じ姿勢: 美容院でのシャンプー、歯科治療などで長時間同じ姿勢を続けること。
寝不足やストレス: 体調不良やストレスが影響することもあります。
内耳の炎症: 過去に内耳の病気をしたことがある場合。
どんな症状が出る?めまいの特徴と注意すべき症状
良性発作性頭位めまい症のめまいには、いくつかの特徴があります。
主な症状
回転性のめまい: 周囲がグルグル回るように感じるめまいです。
特定の頭の動きで誘発: 寝返りを打つ、起き上がる、上を向く、下を向くなど、頭の位置を変えた時にめまいが起こります。
持続時間は短い: めまいは通常、数秒から数十秒程度で治まります。長くても1分以内であることがほとんどです。
吐き気・嘔吐: めまいに伴って吐き気や実際に嘔吐することもあります。
注意すべき症状(すぐに病院へ!)
良性発作性頭位めまい症のめまいは短時間で治まりますが、以下のような症状が伴う場合は、脳の病気など、別の重篤な病気が原因の可能性もあります。すぐに医療機関を受診しましょう。
激しい頭痛
手足のしびれや麻痺
ろれつが回らない
視野が狭くなる、物が二重に見える
意識が朦朧とする
めまいが長時間続く(数分以上)
聞こえが悪くなる、耳鳴り、耳の詰まった感じ(メニエール病の可能性も)
これらの症状が一つでも見られたら、迷わず脳神経外科や神経内科、耳鼻咽喉科を受診してください。
病院での治療法と自宅でできる対処法
良性発作性頭位めまい症は、適切な治療とセルフケアで改善が期待できます。
1. 病院での治療:耳鼻咽喉科を受診しましょう
めまいの症状が出たら、まずは耳鼻咽喉科を受診しましょう。めまいの専門医がいる医療機関を選ぶと安心です。
診断: 問診や眼振(がんしん:眼球が不随意に動くこと)の確認、頭位変換眼振検査などを行い、耳石がどの三半規管に入っているかを特定します。
浮遊耳石置換術(エプリー法など): 医師が行う治療法で、頭を特定の方向に動かすことで、三半規管に入り込んだ耳石を元の耳石器の場所に戻す手技です。症状のある三半規管によって、動かす方向や角度が異なります。多くの場合、1~数回の治療でめまいが改善します。
薬物療法: めまいや吐き気を抑える薬が処方されることもあります。
2. 自宅でできる対処法:めまい体操(自主訓練)
病院で診断を受けたら、医師の指導のもと、自宅でできる「めまい体操」を積極的に行いましょう。これは、剥がれた耳石を三半規管から出すための運動療法です。
一般的なめまい体操の例(必ず医師の指示に従ってください)
最も一般的なのは「エプリー法」を応用した体操ですが、耳石が入り込んでいる三半規管によって最適な体操が異なります。ここでは、代表的な例を挙げますが、必ず医師の指導を受けてから行ってください。
半規管再配置法(エプリー法):
ベッドに座り、症状が出る側の反対に頭を45度向けます。
そのままの状態で、素早く仰向けになり、頭を少し後ろに倒します。
仰向けのまま、今度は頭を症状が出る側に90度向けます(顔が天井を向いた状態から、症状のある耳が下を向く状態になります)。
そのまま体を横向きにし、顔も同じ方向に向け、天井を見るようにします。
ゆっくりと体を起こします。
この一連の動作を数回繰り返します。めまいがするかもしれませんが、怖がらずに続けることが大切です。
めまい体操を行う際のポイント
医師の指示に従う: 自己判断で行わず、必ず医師に指導された方法で実践しましょう。
毎日続ける: めまいが治まっても、数日間は続けると再発予防になります。
焦らない: 最初はめまいが強く出ることもありますが、少しずつ慣れていきます。
安全に配慮: 転倒しないよう、ベッドの上など安全な場所で行いましょう。
3. 日常生活で心がけること
安静にしすぎない: めまいがあるからといって、ずっと寝ているのは逆効果です。適度に体を動かすことで、耳石の排出が促されます。
頭を積極的に動かす: 症状が出ない範囲で、日常生活の中で頭を上下左右に動かすことを意識しましょう。
睡眠時の工夫: 枕を少し高くする、症状が出る側を下にして寝ないなど、寝る姿勢を工夫することも有効です。
ストレスをためない: ストレスはめまいを悪化させる要因にもなり得ます。適度な休息やリラックスできる時間を作りましょう。
まとめ:正しい知識と対処法で、めまいを乗り越えよう!
頭を動かすとめまいが起こる「良性発作性頭位めまい症」は、多くの人が経験する一般的なめまいです。原因は耳石の移動であり、決して怖い病気ではありません。
大切なのは、めまいの特徴を正しく理解し、適切なタイミングで医療機関を受診すること。そして、医師の指導のもと、めまい体操などのセルフケアを根気強く続けることです。
もし今、めまいに悩んでいるなら、一人で抱え込まずに、ぜひ耳鼻咽喉科を受診してください。正しい知識と対処法で、突然のめまいを乗り越え、安心で快適な毎日を取り戻しましょう!