「あなたの看護観」ってどう答える?レポート・面接で輝く例文と伝え方
看護学生さんや現役看護師さんにとって、「あなたの看護観は何ですか?」という問いは、レポートや面接で必ずと言っていいほど聞かれる大切な質問ですよね。漠然としていて答えにくい…と感じる方もいるかもしれません。
でも実は、「看護観」は、あなたがどんな看護師になりたいか、患者さんとどう向き合いたいかを表現する、あなただけの「看護の軸」なんです。今回は、この「看護観」を明確にするためのヒントと、レポートや面接で自信を持って伝えられる具体的な例文をご紹介します。
「看護観」ってそもそも何?なぜ問われるの?
「看護観」とは、あなたが看護を通して何を大切にしたいか、患者さんや医療とどう向き合いたいかという、あなた自身の考え方や価値観のことです。
なぜ看護観が問われるのか?
倫理観・価値観の確認: 看護師の仕事は、患者さんの命や尊厳に関わる責任ある仕事です。あなたの看護観を通じて、倫理観やプロとしての価値観が医療現場と合致しているかを見極めようとしています。
仕事への意欲・熱意の確認: どのような看護師になりたいのか、どのような看護を提供したいのかという明確なビジョンがあるかを見ることで、仕事への本気度や成長意欲を測っています。
組織への適合性: 病院や病棟の理念、看護の質とあなたの看護観が合っているかを確認し、チームの一員として貢献できるかを見ています。
ストレス耐性・課題解決能力: 困難な状況に直面した際に、自分の看護観を軸にどのように乗り越え、解決していくかを知る手がかりにもなります。
あなたの看護観を見つけるためのヒント
自分自身の看護観を明確にするためには、これまでの経験を振り返ることが大切です。
看護師を目指したきっかけ:
なぜ看護師になろうと思ったのでしょうか?幼い頃の経験、誰かとの出会い、テレビで見た光景など、心に残っている出来事を思い出してみましょう。
実習や臨床での経験:
患者さんとの印象的な出会いはありましたか?
「この患者さんのために、もっと何かできたはず」と感じたことは?
喜びや達成感を感じたのはどんな時でしたか?
困難に直面し、どう乗り越えましたか?
先輩看護師のどんな姿勢に感動しましたか?
「理想の看護師像」を具体的にする:
どんな看護師になりたいですか?「優しい看護師」だけでなく、具体的に「患者さんの話をじっくり聞く」「最新の知識を学び続ける」など、行動レベルで考えてみましょう。
大切にしたいキーワードを考える:
「傾聴」「寄り添い」「個別性」「尊厳」「安心」「笑顔」「学び」「成長」「チーム医療」など、あなたが看護で特に大切にしたい言葉を書き出してみましょう。
これらの振り返りから、あなたが看護に対して何を重視しているのか、どんな時にやりがいを感じるのかが見えてくるはずです。
看護観を伝えるための構成と例文
看護観を効果的に伝えるためには、以下の構成を意識すると良いでしょう。
結論(私の看護観は〇〇です)
具体例・根拠(なぜその看護観に至ったのかの経験や学び)
今後の展望(その看護観を活かしてどう貢献したいか)
例文1:患者さんの「個別性」と「その人らしさ」を尊重する看護
「私の看護観は、患者さんの『個別性』を深く理解し、その方らしい生き方を尊重した看護を提供することです。
これは、〇〇病棟での実習経験がきっかけで明確になりました。ある高齢の患者さんは、病気で会話が難しくなっていましたが、若い頃の趣味が絵を描くことだと知り、小さな画集を病室に置いたところ、毎日嬉しそうにページをめくる姿が見られました。この経験から、病気だけでなく、その方の背景にある人生や価値観、習慣を知ることが、患者さんの尊厳を守り、心の安寧につながると強く感じました。
今後は、患者さん一人ひとりの物語に耳を傾け、その方が大切にしているものを尊重することで、どんな状況においても**『その人らしさ』を失わない、心温まる看護**を実践していきたいと考えています。そして、患者さんやご家族にとって最も良い選択を共に考え、寄り添い続ける看護師を目指します。」
例文2:患者さんの「安心」を第一に考え、学び続ける看護
「私の看護観は、患者さんが安心して医療を受けられるよう、常に学び続け、最善を尽くすことです。
以前、私自身の家族が病気で入院した際に、担当の看護師さんが常に笑顔で、的確な情報提供と丁寧なケアをしてくださり、大きな不安が和らいだ経験があります。その時、患者さんやご家族が抱える不安は、病気そのものだけでなく、『何が起こるかわからない』という状況への恐れも大きいのだと実感しました。
この経験から、私は常に最新の医療知識や技術を習得し、患者さんの小さな変化にも気づける観察力を磨くことで、根拠に基づいた質の高い看護を提供することを重視したいと考えています。そして、患者さんがどんな時も『この看護師さんになら任せられる』と信頼し、安心して治療に専念できる環境を、私自身が創り出していけるよう努力していきます。」
例文3:チームで「最善のケア」を追求し、患者さんを支える看護
「私の看護観は、チーム医療の中で自分の役割を果たし、多職種と連携しながら患者さんにとっての最善のケアを追求することです。
〇〇科での実習中、一人の患者さんの回復には、看護師だけでなく、医師、薬剤師、理学療法士、栄養士など、多職種が密に連携し、それぞれの専門性を発揮していることを肌で感じました。特に印象的だったのは、カンファレンスで情報共有を密に行い、それぞれの視点から患者さんの状態を多角的に捉えることで、より質の高いケアプランが生まれていたことです。
私自身も、知識や技術を磨きながら、積極的に情報共有を行い、チームの一員として建設的な意見を出し合える看護師になりたいです。そして、患者さんが安心して治療に専念し、QOL(生活の質)を向上させることができるよう、多職種と協力し、最適なサポートを提供することに貢献していきます。」
看護観を伝える際のポイント
具体的なエピソードを交える: 抽象的な言葉だけでなく、あなたの看護観が形成された具体的な経験やエピソードを盛り込むことで、説得力が増し、相手に深く伝わります。
簡潔に、分かりやすく: 長々と説明するのではなく、要点を絞って簡潔に伝えましょう。面接では30秒〜1分程度が目安です。
ポジティブな言葉を選ぶ: 看護のやりがいや患者さんへの思いなど、前向きな姿勢が伝わる言葉を選びましょう。
丸暗記ではなく、自分の言葉で: 例文はあくまで参考です。自分の言葉で語ることで、あなたの熱意や誠実さが伝わります。
応募先の病院や施設の理念と関連付ける: 応募先の病院が掲げる理念や、力を入れている看護の内容と、あなたの看護観を少し関連付けられると、より強いアピールになります。
まとめ:あなたの看護観は、あなただけの「強み」になる
「看護観」は、看護師として働く上で羅針盤となる、あなた自身の「軸」です。漠然としていて答えにくいと感じるかもしれませんが、これまでの経験を振り返り、あなたが何を大切にしたいのかを言語化するプロセスは、きっと今後の看護師人生にも役立つはずです。
今回ご紹介したヒントや例文を参考に、あなたらしい看護観を見つけて、自信を持って伝えてくださいね。あなたの熱い思いは、きっと相手に届くはずです!