奨学金、もし返せなくなったら…?「個人再生」と保証人への影響を徹底解説!
大学や専門学校で学びたいという夢を叶えるために、多くの学生が利用する奨学金。卒業後、社会人として返済が始まるものの、 unforeseen circumstances (予期せぬ事情) や経済的な困難に直面し、「このままでは返済が難しい…」と悩んでしまう方も少なくありません。
もし多額の借金を抱えてしまい、「個人再生」を検討する際、奨学金はどのように扱われるのでしょうか?そして、連帯保証人や保証人になってくれた家族や親族には、どんな影響があるのでしょうか?
この記事では、個人再生の基本的な仕組みから、奨学金の返済義務、そして保証人への影響について、わかりやすく、そしてあなたの不安に寄り添いながら徹底的に解説します。もしもの時のために、正しい知識を身につけておきましょう。
まずは知っておきたい!「個人再生」ってどんな手続き?
「個人再生」は、多額の借金で生活が立ち行かなくなった方を救済するための、裁判所を通じた債務整理(借金解決手続き)の一つです。自己破産のように財産を手放すことなく、借金を大幅に減額し、無理のない範囲で返済を続けていくことを目指します。
個人再生の大きな特徴
- 借金が大幅に減額される: 借金の総額に応じて、原則として1/5~1/10程度にまで減額されます。(ただし、最低100万円は返済義務が残ります。)
- 自宅や車などを手放さずに済む可能性がある: 住宅ローンがある場合、「住宅ローン特則」を利用すれば、自宅を手放さずに済みます。自己破産のようにすべての財産が処分されるわけではありません。
- 継続的な収入があれば利用できる: 会社員やパート・アルバイトなど、将来にわたって安定した収入の見込みがある方が対象です。
「自己破産は避けたいけれど、今のままでは返済が厳しい…」と感じている方にとって、個人再生は有力な選択肢となり得ます。
奨学金も個人再生の対象になるの?
はい、奨学金も個人再生の対象となる借金です。
「奨学金は特別なものだから対象外では?」と思うかもしれませんが、貸与型(返済が必要なタイプ)の奨学金は、法的には一般的な借金と同様に扱われます。そのため、個人再生の手続きをする際には、奨学金を含めたすべての債務を裁判所に申告する必要があります。
「奨学金だけは個人再生の対象から外したい」と考える方もいるかもしれませんが、残念ながらそれはできません。もし奨学金を隠して手続きを進めると、再生計画が裁判所に認められず、手続きが失敗してしまうリスクがあるため注意が必要です。
最も知っておきたい!奨学金の「保証人」への影響
奨学金を利用する際、ほとんどの場合「人的保証」か「機関保証」のどちらかを選択しています。特に「人的保証」を選んだ場合、あなたが個人再生をすると、保証人になってくれた方々に大きな影響が及ぶことになります。
1. 「人的保証」の場合:保証人に一括請求が!
「人的保証」とは、両親や親戚などが「連帯保証人」や「保証人」になってくれているケースです。あなたが個人再生の手続きを始めると、奨学金の貸主(多くは日本学生支援機構JASSO)は、あなたへの請求ではなく、連帯保証人や保証人に対して、残りの奨学金全額を一括で請求することになります。
- 連帯保証人: あなたが支払えなくなった場合、あなたの代わりに全額の返済義務を負います。奨学金の契約書で「親」がなっているケースが多いです。
- 保証人: 連帯保証人への請求があった後、それでも支払いが難しい場合に、**残債務の一部(通常は2分の1)**について返済義務を負います。「親戚」がなっているケースが多いです。
あなたが個人再生で奨学金が減額されたとしても、その減額の効果は保証人には及びません。つまり、あなたが減額された分は、保証人に請求が行ってしまうのです。これは、保証人になってくれた方々に多大な迷惑と経済的負担をかけることになります。
保証人に一括請求が来た場合どうなる?
- 分割払いの交渉: いきなり全額の一括返済は難しいことが多いため、保証人が奨学金機構(JASSOなど)と直接交渉し、分割払いにするようお願いすることが一般的です。
- 保証人も債務整理を検討: 保証人自身も一括返済ができない、または分割払いでも困難な場合、保証人自身も自己破産や個人再生といった債務整理を検討せざるを得なくなる可能性もあります。
- 信用情報への影響: 保証人が延滞したり、債務整理をしたりすることになれば、その保証人自身の信用情報に影響が出てしまい、新たなローンを組んだり、クレジットカードを作ったりすることが難しくなります。
このため、人的保証で奨学金を借りている方が個人再生を検討する際は、必ず事前に保証人の方としっかり話し合い、理解を得ておくことが極めて重要です。内緒で手続きを進めてしまうと、後々大きなトラブルに発展する可能性があります。
2. 「機関保証」の場合:保証人への直接的な影響はなし
「機関保証」とは、保証機関(例えば、(公財)日本国際教育支援協会など)に保証料を支払うことで、その機関が保証人になってくれる制度です。この場合、あなたが個人再生の手続きを始めると、保証機関があなたの代わりに奨学金を一括で弁済(代位弁済)します。その後、保証機関があなたの債権者となり、あなたの個人再生の手続きの対象となります。
この場合、人的保証のように家族や親族に直接請求が行くことはありません。 そのため、保証人への影響を心配する必要がない点が大きなメリットです。
個人再生が失敗する可能性ってある?
個人再生の手続きは裁判所で行われるため、いくつか失敗するケースも存在します。
1. 債権者の不同意(小規模個人再生の場合)
個人再生には主に「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」の2種類があります。
- 小規模個人再生: あなたの借金減額計画(再生計画案)について、債権者(お金を貸している側)の「書面による同意」が必要となります。正確には、債権者総数の半数以上、または債権総額の半分を超える債権額を有する債権者から反対の意見が出された場合、再生計画案は否決されてしまいます。 奨学金機構は債権額が大きい場合が多いため、機構が反対した場合、小規模個人再生が難しくなるケースも考えられます。
- 給与所得者等再生: こちらは債権者の同意は原則不要です。その代わり、小規模個人再生よりも返済額が少し高くなる傾向があり、安定した給与収入があることが条件となります。
2. 再生計画を履行できないと判断された場合
裁判所があなたの作成した再生計画案を見て、「本当にこの計画通りに返済していけるのか?」と疑問を持った場合、認可されないことがあります。収入が不安定だったり、支出が多くて返済が現実的でなかったりするケースがこれに該当します。
3. 不正行為があった場合
例えば、財産を隠したり、一部の債権者だけを優遇したりといった不正行為があった場合、当然ながら手続きは認められません。
奨学金の返済で困ったら…まずは専門家へ相談を!
奨学金の返済が困難になった場合、個人再生を検討する前に、まずは日本学生支援機構(JASSO)の救済制度を検討することも大切です。
- 返還期限猶予制度: 一定期間、返済を待ってもらえる制度です。(通算10年までなどの制限があります。)
- 減額返還制度: 月々の返済額を減らし、返済期間を延長する制度です。
これらの制度を利用しても返済が難しい場合や、奨学金以外の借金も抱えている場合は、個人再生をはじめとした債務整理が選択肢となります。
奨学金と保証人の問題は非常にデリケートです。自己判断で動く前に、弁護士や司法書士といった債務整理の専門家に相談することを強くお勧めします。彼らはあなたの状況を詳しく聞き取り、最適な解決策を提案し、複雑な手続きをサポートしてくれます。そして、保証人の方への説明についても、適切なアドバイスをもらえるでしょう。
まとめ:一人で悩まず、未来のために一歩踏み出そう
奨学金の返済と借金問題は、とてもデリケートで誰にも相談できずに抱え込んでしまいがちです。しかし、個人再生は、借金を減らし、経済的な再生を図るための有効な手段です。特に人的保証の奨学金がある場合は、保証人への影響を十分に理解し、誠実な対応を心がけることが何よりも大切です。
一人で抱え込まず、まずは専門家の扉を叩いてみましょう。あなたの未来のために、そして大切な保証人のためにも、早期に適切な行動を起こすことが、解決への第一歩となります。